今回は、名作映画「フォレストガンプ」を見た感想・考察を書いていきます。
本記事はネタバレを含むので、まだ見ていない方はご注意ください。
映画「フォレストガンプ」について
概要
「フォレストガンプ」は1994年に公開された、アメリカの映画です。
原作はウィンストン・グルームの小説「フォレストガンプ」ですが、内容は大幅に変更されているそうです。
トムハンクス演じる、知能指数は低いが、俊足で清らかな心を持つ主人公「フォレストガンプ」の波乱万丈の半生を描いています。
あらすじ
アラバマ州グリンボウの田舎で女手ひとつで育てられたフォレスト・ガンプ。
小学校に入ったものの、勉強が苦手で足にギブスをはめたフォレストはバカにされてばかり。
遊んでくれるのはスクールバスで一緒になった優しい女の子、ジェニーだけだった。
ある日、同級生たちにいじめられていたフォレストは、「走って!」というジェニーの声で猛然と駆け出す。
それも足のギブスが吹き飛ぶほどのスピードで—。
アメフト全米代表、ベトナム戦争、卓球世界選手権、エビ漁船船長、
そのままフォレストは風のような速さで自らの人生を駆け抜けてゆく—。
主な登場人物
登場人物 | キャスト | 説明 |
フォレストガンプ | トム・ハンクス | 人より知能指数(IQ)が低いものの、俊足で清らかな心の持ち主 |
ジェニー・カラン | ロビン・ライト | ガンプが生涯思いを寄せる、幼なじみ |
ババ・ブルー | マイケルティ・ウィリアムソン | 軍隊で知り合ったガンプの親友。エビ漁師の出身 |
ダン・テイラー | ゲイリー・シニーズ | ガンプのベトナム時代の上官。帰国後も重要な関係を持つ |
ミセス・ガンプ | サリー・フィールド | ガンプの母。女手一つでガンプを育て、彼の人生に大きな影響を与える。 |
面白かったところ
1.ガンプの壮絶な人生
この映画の一番の特徴とも思われるのが、ガンプの壮絶な人生です。
「壮絶」と言われると、何かとてつもない不幸の中を懸命に生きてきたように聞こえがちですが
決してそういうことではなく、「他に類を見ない唯一無二の人生」という意味です。
ガンプの人生を簡単にまとめてみました。
アラバマ州グリーンボウに生まれる
入学初日のスクールバスで、ジェニーに出会う
大学でアメフトを始め、全米代表選手になる
陸軍に入隊しベトナムに赴く
卓球に出会い、全米代表に選ばれる
エビ漁師で成功し、「ババ・ガンプ・シュリンプ」を設立
全米を走破する
コミカルなガンプ描写
この映画には、ガンプの知能指数が低いことを逆手にとった笑いが多数あります。
ガンプの特徴として、何かをすると加減を知らずにやり続けることが挙げられます。
例えば、ガンプがアメフトの試合に出場しているシーンでは、ボールを持って走っているのですが、仲間やコーチからはただ「走れ!」と言われているだけなので、エンドゾーンを超えてもなお走りつづけて、危うく競技場を出てしまうところまで行く姿が描かれています。
このことについて、コーチたちは「マヌケだが足だけは速い」と評価しています。
またガンプ自身は「ただ走っているだけなのに褒められるのは不思議だった」と振り返っています。
それから、軍隊に入隊後は
「自分はなぜか軍隊がよく合っていた」というふうに振り返っていますが、そのあとに
「何か聞かれても「はい!軍曹殿」といっておけばいいから」とも言っており、
知能指数が低いからこそ、自分で考えるよりただ命令に従っているほうが合っているということをジョーク交じりに暗示しています。
また、ベトナムから帰国後に大統領から勲章を授与される際に、戦地でお尻に銃弾が当たったガンプは
大統領から「どこをケガしたんだい?」と聞かれると「お尻です」と答え、そのあと大統領が冗談交じりに「できれば見たいものだ」というと、テレビ中継の目の前で大統領にお尻を見せます。
ガンプとしては、大統領の希望に答えただけなので悪気はないのですが、はたから見るとやはりマヌケですよね笑。
全体的にガンプは天然なキャラクターとして描かれています。
悪くいえば「空気が読めない人」ですが、その素直で清らかな心が数々の成功をもたらす物語はとても面白かったです。
感覚としては、「悪気の全くないMr.ビーン」をみている感じでした(笑)
著名人の合成映像
この映画には、1950~1980年代のアメリカの著名人が多数出演(!?)しています。
出演している著名人は
メモ
・エルヴィス・プレスリー
・ケネディー大統領
・ニクソン大統領
・ジョンレノン
・ウォレス知事
などです。
特に、ケネディー大統領やニクソン大統領、ジョンレノンなどはガンプと一緒に写っています。
会話もしていますが、もちろんこれは全て合成です。
でも、最初はそっくりさんだと思いました。
1990年代にこんな映像技術があったということに、とても驚きました。
考察
なぜガンプとジェニーはなかなか結ばれなかったか
作中で、ガンプとジェニーはなかなか結ばれません。
ガンプはただひたすらジェニーだけに思いを寄せるのですが、ジェニーはそれを色々なかたちで振り払ってしまいます。
ジェニーもガンプのことが嫌いというわけでは決してないのですが、どうして距離を取ろうとしてしまったのでしょうか。
僕は、2つの理由があると考えます。
1つ目は、育ちの問題です。
ジェニーは、幼少期に父親から虐待を受けていたことが暗示されています。
それに対しガンプは、幼少期からずっと母の愛情を受け続けて育っています。
よく、愛情を受けてこなかった子供が大人になってから荒れるという話はよく聞きますし、ジェニーもその例外ではなかったのだと思います。
ジェニーは、いわゆる「パリピ」的、いわゆる世の中の風潮に乗っかる生き方をしていきます。
そんななかでガンプと一緒になることは、ちょっと冷めた気分になるというか、自分のコミュニティーには場違いと感じてしまったのではないでしょうか。
2つ目は、社会的立場の差です。
これは1つ目と関連することでもありますが、
ガンプは「going my way」的な生き方で徐々に社会的に成功していきます。
アメフトや卓球でアメリカ代表になったり、軍の勲章でテレビ中継されたり、超有名企業の社長になったりと、申し分のない人生を送っています。
それに対しジェニーは、ヒッピーに参加したり、次第には薬物に手を出したりと、ふらふらした生き方をしていきます。
やはりジェニーとしては、ガンプに引けを感じてしまい、こんな自分とガンプは釣り合わないと思っていたのだと思います。
ガンプとジェニーの距離が離れはじめたのは、2人が大学に入学して以降のことです。
このころガンプはアメフトの選手として頭角をあらわしてくる一方で、ジェニーは素行の悪い男と付き合い始めます。
もしかしたらこのころから、ガンプに引けを感じ始めていたのかもしれません。
それから、これらの2人の人生はある種のメタファーとも受け取ることができます。
簡単にいえば、ガンプが成功しジェニーが堕落していくというコントラストがあり、
「自分の道を自分で切り開いていった者が成功し、風潮に乗っかる者はやがて廃れていく」
といったメッセージを感じとることもできますね。
なんでガンプはジェニーに一途なのか
ではなぜガンプは、何度も振られているジェニーに一途な思いを寄せ続けたのでしょうか。
僕は、ガンプはジェニーのことを色々な意味で「人生の恩人」と考えているからだと思います。
入学初日のスクールバスの中で、ほとんどがガンプを白眼視するなか、唯一やさしさを与えたのは彼女ですし、彼女は人生で最初の友達です。
ジェニーは、本当は心の優しい人物なのでしょう。
また、ガンプの俊足の才を引き出したのも彼女の「Run! Forrest!」の言葉です。
俊足がなければ、ガンプのアメフトや軍との出会いは無かったでしょう。
このように、ジェニーはガンプの人生の恩人だと考えることができます。
なので、ガンプは彼女の社会的立場などまったく気にせず、彼女に思いを寄せ続けたのでしょう。
好きなセリフ
僕がこの映画の中で一番気に入ったセリフは
I have believed in you will make your own distiny. You have to do the best with what god gave you
(神様からの贈りものを最大限生かして、自分の運命を切り開くんだよ)
※英語の聞き取りが間違っていたらごめんなさい
です。
これは、ガンプの母が死ぬ間際にガンプに言った言葉です。
この言葉は、この映画全体のテーマになっていることだと思います。
個人的には、特に「神様からの贈り物を最大限使って」という部分が気に入っています。
ガンプの贈り物は
・加減を知らずにやり続ける性質
・俊足
・清らかな心
といったところでしょうか。
とくに最初のものは、はたから見ると短所として見られがちですが、この性質のおかげで
アメフトや卓球での成功を収めています。
自分に対する贈り物は何かということを改めて考えるとてもいいきっかけにもなりました。
まとめ
今回は映画「フォレストガンプ」を見た、僕なりの感想や考察について紹介しました。
僕は、この映画に対する印象としては
ガンプ個人の人生に関する人間ドラマというより、我々の人生へのメッセージだと感じました。
ガンプとジェニーの人生のコントラストや、ガンプの母の言葉を中心に、神様からの贈り物(自分の性質、素質)を最大限生かすことが人生をよりよくすることに繋がるということを改めて考えさせられました。
皆さんにも、何かしら考えさせられるものがあることと思います。
ご覧いただきありがとうございました。